第57章 一歩一歩破壊する

水原寧々は自分が何をしたのか、本当に思い出せなかった。

高橋長明は大股で交番の中へ歩いていった。彼は通報者であり、被害者でもあるため、すんなりと中に入ることができた。

一方、水原寧々は外で足止めされ、藤原修一の保釈はできないと告げられた。

水原寧々は交番の大きな扉を見つめ、無力感が胸に込み上げてきた。

彼女のような普通の人間が何かに巻き込まれたら、本当にどうすることもできない。

お金も権力もない彼女は、高橋長明の言った通り、裁判となっても長く耐えられないかもしれない。

水原寧々はふと藤原美智子のことを思い出した。藤原美智子は水沐天城マンションの部屋を買える...

ログインして続きを読む